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子どもを待ってあげる。注ぐ視線の優しさが伝わる、韓国ベストセラー

About the Article

子どもを待ってあげる。注ぐ視線の優しさが伝わる、韓国ベストセラー
Article
https://globe.asahi.com/article/14322928
Journal
Asahi Globe+
Issued Date
April 04, 2021
Page
-
Language
Japanese(日本語)
Country
JAPAN
City
-
Book
-
Writer
Kim Soyoung

About the Author

Writer default image
  • Kim Soyoung
  • Birth : - ~ -
  • Occupation : Professor
  • First Name : Soyoung
  • Family Name : Kim
  • Korean Name : 김소영
  • ISNI : -
  • Works : 1
Descriptions - 1 Languages
  • Japanese(日本語)

子育てを卒業して久しい私は、本書『子どもという世界』というタイトルに、正直、食指が動かなかった。ところが本書は、昨秋の刊行以来、売れ続けていることが気になった。 著者のキム・ソヨンは、編集者として10年余り、子ども向けの本を作っていた。子どもの養育者でもなく、児童心理学の専門家でもない。8歳以上の小学生を対象に、読書教室を運営している。読書教室とは放課後に通う塾の一つだが、学習塾とは異なり、本を読んで考えることや、文章を書くことなどを学ぶところだ。 日々の体験や思いをブログにつづり、それをまとめたのが本書だ。キムは子どもの言動を見て、わが身をふり返る大人だ。 運動靴のひもがうまく結べない子が、「左足は自分で結んだ」と胸を張った。「自分が子どもだったころ、待ってくれる大人はそれほど多くはなかった。今、子どもを待ってあげれば、子どもは別の大人に成長するのかもしれない」 雨に打たれて歩く子を見かけた。しかし平素からキムは、「道で誰かから車に乗せてあげると言われても、絶対に乗ってはダメよ。たとえ先生の車だとしても」と教えている。傘をさしかけたら、警戒されるのではないか。あるいは見知らぬ大人に気を許す経験をさせて、後難を招きはしないだろうか。 キムの葛藤から、子どもが巻き込まれる犯罪の多さが垣間見える。迷った揚げ句に傘をさしかけるが、家までは送らずに別れる。「知らない人に家を教えないでね」と諭しながら。