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現代のソウルにおける『火垂るの墓』―女装ホームレスとして四つ角に立つ少年の物語

About the Article

現代のソウルにおける『火垂るの墓』―女装ホームレスとして四つ角に立つ少年の物語
Article
https://ddnavi.com/review/458745/a/
Journal
DDNavi
Issued Date
May 15, 2018
Page
-
Language
Japanese(日本語)
Country
JAPAN
City
-
Book
野蛮なアリスさん
Writer
Hwang Jungeun
Translator
斎藤真理子

About the Author

Hwang Jungeun
  • Hwang Jungeun
  • Birth : 1976 ~ -
  • Occupation : Novelist
  • First Name : Jungeun
  • Family Name : Hwang
  • Korean Name : 황정은
  • ISNI : 0000000118516177
  • Works : 28
Descriptions - 1 Languages
  • Japanese(日本語)

いきなり結論を言ってしまうと、『野蛮なアリスさん』(ファン・ジョンウン:著、斎藤真理子:訳/河出書房新社)はまさに現代のソウルにおける『火垂るの墓』だ。  女装ホームレスとして大都会の四つ角に立つアリシアは、ジャケットとミニスカートがセットになった紺のスーツを着て、鳩の羽のような色で鳩の胸のように手触りのいい、愛らしいストッキングを履いている。そしてふとしたタイミングにアリシアの体臭をかぐはずの「君」に、アリシアはオナモミのような小さな棘でしっかり取りつく。アリシアはそれをやるために存在している。なぜかの具体的な説明はない。描かれているのはアリシアがコモリという土地で育ったこと、そして両親と弟がいたことだ。コモリには下水処理場からの悪臭が漂い、田んぼと平地ばかり。でも、どうってことはない。なぜならコモリは再開発後に大規模な高層マンション団地が建つ予定になっていて、そのおかげで古くからの住民は、金持ちになる予定だからだ。

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