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이별의 김포공항

Title/Author/Genre

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    Title: 別れの金浦空港

    Author: 朴婉緒(パク・ワンソ)

    Genre: Korean Literature, Contemporary Fiction

     

    LTI Korea staff: 李善行(イ・ソネン)soyi@klti.or.kr / +82-2-6919-7731

Description

  • About the book

    1974年に発表された「別れの金浦空港」は、その時代の韓国の様子を断片的に映し出している。

    1960〜1970年代の韓国は、アメリカの大衆文化が浸透し、アメリカという国への憧れから多くの韓国人がアメリカに渡る「移民熱風」が吹いた時期である。

    本作品は6.25戦争(朝鮮戦争)を生き延び、まともな仕事に就けず職を転々とし、憧れのアメリカへ渡ろうともがく者とその家族の姿を描いている。盲目的なほどのアメリカへの憧憬と、優越意識から同じ国民に対してまでも憚かることなく蔑んだ視線を送るその様子がリアルに伝わってくる。

    本作品は、少女がアメリカに渡る直前の祖母を連れ博物館の見物に出かけるところから始まる。ところがソウル市内の見物さえまともにしたことのない祖母が、韓国と、行ったこともないアメリカを比べては韓国を蔑視する。祖母には4人の息子と娘が一人いるが、長男を除き全員がアメリカに行くために血眼になっていた。彼らにとってアメリカとは地上の楽園だったのである。しかし3人の息子はアメリカには行けず、その実アメリカから祖母を呼んだのは一人娘だった。あれほどアメリカに行きたがっていた2番目の息子は西ドイツに、3番目の息子はブラジルに、4番目はグアムにいた。叔父たち、そして叔母が韓国を発つ前に起きた騒動は少女の記憶に深く刻まれていた。韓国を忌み嫌い、いざ外国へ渡った叔父たちは、成功したとも、金を送ってくれるという連絡もない。ただキムチが食べたいという言葉だけで戻ることは出来ない祖国への想いを伝えてくる。遂に祖母も娘の計らいでアメリカに発つ日がやって来る。本当は祖国を愛していたこと、その祖国を離れるしかない自分はもう死んだも同然だと、いざ旅立とうとする飛行機の中で気づき、悲痛な想いにくれるという場面で本作品は幕を閉じる。

    About the author

    朴婉緒(パク・ワンソ)

     大韓民国の小説家。1931年9月15日、京畿道開豊郡で生まれる、1970年『女性東亜』の長編小説公募に応募した『裸木』が当選し文壇デビュー、以後中流階級と女性の生き方をテーマに多くの作品を発表する。2011年1月22日没。

     主要作品の中で長編作品は『裸木(1970)』、『도시의 흉년(1975〜1979)』、『그해 겨울은 따뜻했네(1982~1983)』、『그 많던 싱아는 누가 다 먹었을까(1992)』など多数、短編作品は『母さんの杭(1980〜1991)』、『그 여자네 집(1997)』、『親切な福姫さん(2006)』、などがある。『그리움을 위하여』で第1回黃順元文学賞、『나의 가장 나종 지니인 것』で第25回東仁文学賞、『꿈꾸는 인큐베이터』で第38回現代文学賞、『母さんの杭2』で第5回李箱文学賞を受賞。これらの作品に対する文学史としての意義に目を向けると、男性を中心に成り立っていた文学史から女性文学の時代を本格的に宣言した作家と言っても過言ではないだろう。

     朴婉緒の作品は自伝的な自身の体験による意識を根底に書かれたものが多いことで有名であるが、中でも最も強烈な経験であった朝鮮戦争を土台に書かれた作品が特に多い。また、朝鮮民族の混乱の時期を多彩な表現で描き上げ、その小説のほとんどは女性を中心に成り立っている。フェミニズムを論ずるにあたり、朴 婉緒の作品に触れることで、女性を取り巻く環境の認識を垣間見ることも出来るだろう。

    Media Response/Awards Received

      20世期、韓国の文壇に確実な足跡を残した作家、朴 婉緒の初期作品をまとめた『別れの金浦空港』。この短編集では、朴 婉緒文学の核心と言えるテーマ「朝鮮戦争の悲劇、中流階級の幻想と虚勢意識、女性問題」という要素を複合して描写した作品が網羅されている。

     『別れの金浦空港』は(株)minumusaの쏜살(ソンサル)文庫シリーズの女性文学コレクションとして発刊。쏜살(ソンサル)文庫シリーズは持ち歩きに便利な薄く軽いサイズの短編集で、多様なジャンルの作品を送り出している。

     ここ数年、日本では韓国文学、特に若い作家の作品が目を見張るほどの速さで紹介されており、その中でもフェミニズム関連の文学作品が盛んに紹介されている。翻訳された多様なフェミニズムを取り上げた小説やエッセイに触れながら、現代だけに目を向けるのではなく、もう少し過去に遡った時代に触れるのはどうだろうかという考えに至った。

     この作品は韓国の歴史と文化的な背景、女性を取り巻く環境の認識などと関連づけ、女性の世界を垣間見ることが出来る作品であると考える。単なる流行で姿を消す韓国文学のブームではなく、その「根源」を知り、文学に対する理解を更に深めることのできる作品を紹介したい。過去を知ることにより韓国文学が日本に主流として根付くよう、役に立てたらと思う。

     この本を選択した理由は、一つ目は過去を知ることで現代への理解が深まること、二つ目は短編であることで負担なく作品に触れられること、三つ目は持ち歩きも楽なペーパーブックであるという点である。

     日本の韓国語学習者と韓国文学の愛好家、特に今、まさに韓国文学に関心を持っている方々に愛される作品であると確信している。

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