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지구인 1

Title/Author/Genre

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    Title: 地球人(1~3)

    Author: チェ・イノ

    Genre: Korean Literature, Contemporary Drama, Contemporary Fiction

     

    LTI Korea staff: 李善行(イ・ソネン)soyi@klti.or.kr / +82-2-6919-7731

Description

  • About the book

    『地球人』は1974年に起きたカービン銃強盗事件の主犯であるイ・ジョンデ(李鍾大)と、その腹違いの弟、イ・ジョンセ(李鍾世)の物語である。二人は朝鮮戦争直後の混乱した世の中で幼少時代を送る。兄のジョンデは貧困から這い上がるためにゆすりたかりを繰り返し、しだいに犯罪に手を染めていく。兵役を務めた米軍基地では、人間としての最低限の尊厳すら無視した現実を目の当たりにする。彼は米軍でパンパンをしている女と知り合い、所帯を持ちたいと思うが、二人の仲を引き裂こうとする米兵と喧嘩になり、誤って殺してしまう。そのため刑務所に送られるのだが、脱走に成功し、鉱山で働くことになる。そこで囚人仲間のムン・ドソク(文度錫)と出会い、カービン銃強盗事件を企てる。最初は家族を養うために強盗を繰り返していたのが、犯行を重ねるにつれ罪の意識が薄らぎ、ついには銀行を襲い、殺人を犯す。
    一方、弟のジョンセは、兄が故郷を去ったあと、自分もあとを追うようにして家を出、各地を放浪しているサーカス団に入る。そこで出会った人たちはほとんどが朝鮮戦争後の韓国社会で疎外された最下層民であった。なかでもパク(朴)氏おばさんは、かつて朝鮮戦争で戦果を挙げて勲章までもらった人だが、殺戮の生々しい記憶から逃れられず、男としての性を捨て女装して生きていた。ジョンセはそんなパク氏を家族のように慕うが、パク氏の最後の望みだという自殺の手助けをしたあと、サーカス団から逃亡する。その後、ベトナム戦争で戦争の惨状を目の当たりにし、致命的な心の傷を負い、生きる意味を失う。
    物語はこの二人の兄弟がまるで光と影のように交互に描かれる。二人が再会するのは、ジョンデが人質事件を起こした現場である。窮地に追い込まれたジョンデは、自分の息子と娘、妻を人質にして警察と対峙していた。そんなジョンデを説得するために、警察は弟のジョンセを現場に連れて行く。ジョンデは警察の説得に応じず、社会に対する怒りと家族への想いを連ねた遺書を残して、家族を殺害したあと自らの命も絶つ。すべての悲劇がこれで幕を下ろすのである。

    About the author

    チェ・イノ(1945~2013)
    ソウル生まれ。延世大学英文科卒業。高校二年のときに韓国日報の新春文藝に短編小説が佳作入選。1967年に「見習患者」が朝鮮日報の新春文藝に選ばれ、本格的に創作活動を始める。72年には現代文学賞、82年には李箱文学賞を受賞するなど、韓国文学界をリードする若手作家として評価された。
    80年代初めまでの作品は、ベトナム戦争による特需で高度成長期を迎えた韓国社会において浮き彫りになった社会の歪みを鋭く描いたものが多い。彼の作品群は文学性と大衆性を兼ね備えており、100万部を超えるベストセラーになるだけでなく、映画化された「鯨とり」「バカたちの行進」「星たちの故郷」などは時代のアイコンとなり、作家チェ・イノの地位を揺るぎないものにした
    2000年代に入ってからは歴史小説を数多く書き、そのうちの多くがドラマ化され人気を得た。
    主な作品に『他人の部屋』『星たちの故郷』『馬鹿どもの行進』『都市の狩人』『地球人』『火の鳥』『消えた王国』『道なき道』『王都の秘密』『商道』『海神』『儒林』『渇』『第四の帝国』『見慣れた他人たちの都市』など多数。
    本書『地球人』も映画化、ドラマ化されるなど、大衆の絶大な支持を得た。

    Media Response/Awards Received

    この作品は1974年、韓国社会を衝撃と混乱に陥れた実在の事件をモデルにしている。著者チェ・イノは長い時間をかけてこの事件を取材し、二人の主人公、イ・ジョンデ/イ・ジョンセ兄弟の人生を通して、朝鮮戦争後の韓国社会の裏面を生々しく描いた。1970年代は高度経済成長・産業化が著しい時期ではあるが、その反面、多くの人々が富の分配から疎外され、最下層の生活を強いられた。そのような状況ではジョンデのような凶悪犯が現れたのも必然の成り行きだったのではないか、というのが著者チェ・イノの立場であり、多くの人々がこれに共感した。当時、自分の家族も巻き込んだ残忍な凶悪犯に、人々は恐れおののきつつも、彼の残した遺書の前で複雑な気持ちになるのだった(「(略)みんなすまない。父さんを許してくれ。すぐにおまえたちのあとを追うから。あの世に行って大きな家を買って、みんなで豪華な暮らしをしよう。こんな冷酷な世には未練などない」)。
    著者はジョンデの人生を追いながら、彼を怪物にした責任は社会にあるのではないか、彼のような人間が救われる道はないのか、と問い続ける。作品の最後で、ベトナム戦争のトラウマから逃れられない弟のジョンセが、死んだ戦友の妹と結婚することで魂の救いを求めるシーンがある。『地球人』は、魂の救済というチェ・イノ文学らしいテーマに真っ向から挑んだ作品であると同時に(宗教的なものではなく)、当時といまの社会はどれだけ違っているのか、いまの時代の悲劇は何なのか、私たち読者に問いかけてくる。

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