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웰컴 투 더 언더그라운드

Title/Author/Genre

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    Title: ウェルカム・ツー・ザー・アンダーグラウンドソ・ジン

    Author: ソ・ジン

    Genre: 文学/長編小説

     

    LTI Korea staff: 李善行(イ・ソネン)soyi@klti.or.kr / +82-2-6919-7743

Description

  • About the book

    一人の男がニューヨークの地下鉄の中で目を覚ます。彼は財布の中からクレジットカードと一枚の写真を取り出す。そこには「キム・ハジン」という名前と、写真にはある女性と男の子が写っている。男には自分が誰でここはどこなのか、これが夢か現かさえわからない。記憶を無くしたため。いや、記憶がなくなったためだ。男は何度も地下鉄から抜け出ようとするが、そのたびに気を失ってしまう。そして、また目を覚ます。ガタンゴトン、今度もまたニューヨークの地下鉄の中だ。男は地下鉄から抜け出すことができるのだろうか。家へ、女性と男の子の元へ帰ることができるのだろうか。

     

    「時には人生が悪夢よりも残忍だ」、「客車のようなスピード感とリズムを持っている」と評され、第12回ハンギョレ文学賞の受賞作に選ばれた本作の小説の舞台はニューヨーク。24時間止まることのないニューヨークの地下鉄の中だ。アメリカへ移民した主人公のキム・ハジン、地下鉄で路上ライブをするアンディ、地下鉄で食べ物を売る一方、ひったくりで食いつなぐビリー(プレディー), アンダーグラウンドで病人を診る元医者のポール、アンダーグラウンドで怪我したハジンの世話をしながら娘と暮らしているエープリル、息子と夫のために思いもよらなかったことをするようになった主人公の妻ミラ。果てしない移動と前進しかできない地下世界を舞台に、主人公の男の他にも社会から逃げてきたさまざまな人物が登場する。資本主義のメッカであるニューヨークが舞台なら、登場人物たちはグローバル時代の難民だと言える。

     

    自閉症の息子、浮気中の妻と離れ離れにされたまま、男は地下鉄の中を彷徨い続ける。「私は誰か?」男の頭の中からはこの疑問が離れない。男は地下鉄から抜け出すことができるのだろうか。男の問いを聞く私たちに、地下鉄の中で目を覚ました男は次のように語りかける。

     

    「僕の話、どこかで聞いたような気がしませんか? それはひょっとしてあなたの日常かもしれません。毎朝、いつもの地下鉄に、バスに、車に乗り込んで学校や会社に向かう。高校が大学に変わり、課長からチームリーダーに昇進し、新しい恋人ができて結婚をする。そしてたまに新しい出来事が起きるだけの日々と似たような毎日が繰り返されるのです」

     

    君たちだって同じだという彼の話。やっと私たちは彼の夢と現実が私たちのそれと同じであることに気付く。彼が彷徨い続けるニューヨークの地下鉄が、つまりは私たちが生きているこの世界であることに気付くのだ。ぞっとする瞬間だ。

     

    何よりもこの小説は実験的である。悪夢よりもひどくて惨めな人生を語るために作家は◀◀(巻き戻し)、▶▶(早送り)、●(録画)、■(停止)、Skip(スキップ)などの映像的技法を駆使する。小説の時空間は韓国の釜山とニューヨークを、過去と現在を、現在と未来を飛び交う。そして、結局はニューヨークの地下鉄の中に戻ってくる。作家は「アンダーグラウンド」を舞台に残忍な人生の秘密を一つずつ教えながら、社会から逃げてきたさまざまな人物を描いている。登場人物の人生を通して、悪夢よりもひどい現実を生きていけるようにする原動力は一番幸せだった瞬間、そしてその瞬間を待つ時の希望になり得るという人間的なメッセージを発信している。

    About the author

    迫真に満ちた展開と精巧な構成で抜群の手腕を見せた作家ソ・ジンは、この『ウェルカム・ツー・ザー・アンダーグラウンド』で第12回ハンギョレ文学賞を受賞する前までは、ネットで活動するサイバー作家だった。電子工学科博士課程を中退後、文化雑誌「ボイラー」の編集長を務め、オルタナティブ出版プロジェクト「1ページ短編小説」のサイトを運営するなどユニークな経歴を持っており、その経験こそがこの小説を映像よりもより映像らしい構成にさせ、しっかりしてシャープな文章に仕上げさせたに違いない。この小説はいい意味でも悪い意味でも話題を集めており、作家は韓国の文壇では珍しい果敢なスタイリストとしての地位を手に入れた。

    Media Response/Awards Received

    あらすじが重要でない小説もある。誰かの人生で「反復」という言葉を見つけると、私たちは彼の一生を一瞬にして「知ってしまった」ような気になる。その意味でこの小説は「ニューヨークの地下鉄駅」が主人公の小説舞台なのかも知れない。

    - 朝鮮日報

     

    人生は悪夢に似ており、その悪夢に耐えることができるのは希望だけだという陳腐なテーマをここまでカッコよく、個性豊かに表現している小説はなかなかないだろう。              

    - ヘラルドPOP